ツシマヤマネコ保護活動支援―忌避香拡散装置に託された生物部員と先生の想い|関西大学第一高等学校・中学校 生物部様

ツシマヤマネコ保護活動支援―忌避香拡散装置に託された生物部員と先生の想い|関西大学第一高等学校・中学校 生物部様 納入事例
※本ページの写真は、学校の承諾に基づき使用しています。

関西大学第一高等学校・中学校 生物部の取り組みとオーエスグループによる支援

関西大学第一高等学校・中学校 生物部様は、魚類や爬虫両生類の飼育・観察を中心に活動してきました。2019年度からは活動の幅を広げ、長崎県対馬に生息する絶滅危惧種ツシマヤマネコの保護にも取り組んでいます。 こうした取り組みを支援するため、オーエスグループは装置を開発いたしました。

【ツシマヤマネコについて】
ツシマヤマネコは、日本では長崎県対馬だけに生息する野生のネコ科動物です。1971年に国の天然記念物に、1994年に国内希少野生動植物種に指定されており、環境省レッドリストでは「絶滅危惧IA類」とされています
(出典:対馬野生生物保護センター

キモチをカタチに

キモチ|お客様のご要望

  • ツシマヤマネコを交通事故から守りたい
  • 2か月間、無人で屋外稼働できる装置がほしい
  • 生物部が開発した忌避香を散布する装置が欲しい
  • トレイルカメラと同期して、忌避香の効果を検証したい
  • 対馬への調査日程が迫っており、短納期で開発対応してほしい
※トレイルカメラ…柱や木などに設置し人や動物の動きをセンサーで感知し自動で撮影するカメラ。

カタチ|オーエスのお手伝い

  • 約2,000時間、稼働できる屋外用忌避香拡散装置を開発
  • 忌避液を格納・運用できる専用筐体を設計し、3Dプリンターで製作
  • 電流センサー基板を新規開発し、トレイルカメラの電流を計測することで同期動作を実現
  • 既存製品の計測・制御システムを応用することにより、短納期での装置開発を実現
※忌避液…忌避香を発する液体。

忌避液/ 忌避香拡散装置と電流センサー基板

忌避液

ツシマヤマネコに害を与えないよう、生物部で開発された、100%天然素材の液体です。この液体から揮発する香り(忌避香)がツシマヤマネコを遠ざけるように設計されています。

忌避液

電流センサー基板と忌避香拡散装置

忌避香を散布するすることができます。電流センサー基板を備え、トレイルカメラの動作状態をモニタリングし動作を同期することが出来ます。

電流センサー基板と忌避香拡散装置

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関西大学第一中学校・高等学校 生物部の方々へ、インタビュー

生物部顧問 山中 康彰 先生

~ツシマヤマネコ保護活動について教えてください。

生物部顧問 山中 康彰 先生
山中先生:

現在、長崎県対馬に生息する絶滅危惧種であるツシマヤマネコは個体数減少が心配されています。ツシマヤマネコは毎年交通事故により複数頭が命を落としており、個体数減少の要因の一つと考えられています。
この問題に対して、生徒たちが交通事故からヤマネコを守りたいと考えました。 これまで対馬では交通事故防止への様々な取り組みが行われてきましたが、残念ながら交通事故の件数減少までは至っていません。
そこで、これまで行われてこなかった「匂い」に注目し、「匂いでヤマネコを遠ざける」忌避剤の開発に取り組み始めました。

~ツシマヤマネコの保護活動を始められた背景についてお聞かせください。

山中先生:

私自身、以前対馬で2年間、保護活動に従事していた経験があり、地域の方々と深く関わる中で生きる道しるべを見つけることができました。対馬市へ恩返しがしたい、対馬市と関りを持ち続けたい、という想いから始めました。

~活動を始めるにあたり、生徒たちにはどのように説明されたのでしょうか。

山中先生:

まずは「ツシマヤマネコがどういう生き物なのか」を紹介しました。その上で「京都市動物園のイベントに出展してみよう」と提案し、『ヤマネコプロジェクト』と銘打ち、対馬に実際に訪れたり、外に発信する機会を設けました。
生徒たちが“調べて終わり”ではなく、“社会に発表する”経験を得られることを大切にしました。

生物部員のお二人

~生物部に入部したきっかけを教えてください。

部員Aさん:

動物が好きで入部しました。特に猫が好きで、家でもスコティッシュフォールドを飼っています。

部員Bさん:

小さい頃から生き物の本を読んでいて、進化や生態に興味を持っていました。この学校への入学を希望したのも、生物部の存在を知ったためでした。

~活動を通じてどんな変化がありましたか?

部員Aさん:

中高一貫校なので部員の学年の幅が広いのですが、高校生になって先輩としての責任感が芽生えました。イベントなどを企画・実施する際も後輩のミスも自分たちの責任として捉え、フォローすることを意識するようになりました。

部員Bさん:

周囲から、「生き物好き」として知られるようになり、発表する機会もいただくようになりました。それから、生き物について質問されたときに答えられるよう、ニュースなどから情報を集めるようになりました。今は少しでも「生き物」が関わっている話題があれば、自然と興味がわくようになりました。

~ツシマヤマネコの保護活動を通じて学んだことを教えてください。

生物部顧問 山中 康彰 先生
部員Aさん:

私たちのツシマヤマネコの保護活動が他の活動にも繋がりを持っていることを知りました。
農薬を減らすことで生き物が集まる環境を作り、ヤマネコの餌となる生き物を増やそう、というお米農家さんの活動があります。別々に見えていたひとつひとつの活動は、実はつながりを持っていることに気づいたんです。

部員Bさん:

私はツシマヤマネコについて活動を始めるまで知りませんでした。でも部活を通じて、ツシマヤマネコを保護するために、多くの団体が活動をしていることを知りました。そして、あまり知られていないような動物にも愛情をもって、守ろうとしている人たちがいるということを学びました。


~将来はどんなことをしていきたいですか?

部員Aさん:

まだ職業は決めていませんが、対馬と関わる仕事がしたいです。そして対馬に対する自分の考えを行動に変えていきたいです。先生の想いを継ぎたいと思っています。

部員Bさん:

部活動を通じて、人との関わりやリーダーシップの大切さを学んだので、それを将来に生かしていきたいです。自分が先輩になった時も、後輩に寄り添い、同じ立場になって考えられる人になりたいです。

ツシマヤマネコ保護活動について質問

~今回の忌避香拡散装置の開発に至った経緯を教えてください。

生物部顧問 山中 康彰 先生
山中先生:

毎年交通事故が発生する現実を前に、これまでの対策では十分でないと感じました。「匂いで遠ざける」という新しいアプローチを生徒と考えましたが、装置化は技術的にも資金的にも難しい状況でした。そんな時、中学校技術科の先生のご縁でオーエスグループさんを紹介いただき、短期間で実用的な装置を完成していただけました。

~完成品をご覧になったときの印象を教えてください。

山中先生:

想像通りのものが完成して良かったです。サイズ感もぴったりですね。 動物が通った時に稼働し、においが出るような構造を考えていましたが、自分は電子回路や制御系に詳しくないため、オーエスグループさんに実現していただけて嬉しいです。

~この活動が生徒に与えた影響はどう見ていますか?

山中先生:

自主的に活動できるようになったと思います。一つの視点ではなく物事を多面的にとらえるちからがついてきたのではいかと考えています。チームで役割を分担し、成果物を完成させる過程も、今後の成長につながると感じます。

~今後の展望をお聞かせください。

山中先生:

今後はフィールドテストで効果を検証します。2025年8月より忌避液をセットした忌避香拡散装置を対馬市内の道路わきや鶏小屋周辺に設置し、2か月間現地調査する予定です。
忌避液は、2025年3月に校内でイエネコに対し「匂い」の忌避効果検証を行ったので、その結果、最も効果があると考えられたものを利用します。成果があれば事故多発地帯や鶏小屋周辺に設置し、地域と協力して活用を広げたいです。
また、忌避香は天然素材で構成しているため、現地の方々が自ら調合し、設置できる仕組みにしたいと考えています。

次世代商品開発研究所

キモチをカタチに

教育現場にある、日々のお困りごとを我々オーエスグループが解決いたします。

たとえば、こんなお悩みはございませんか?

  • 実現したい授業があるのに、市販教材では対応できない
  • 予算や時間に限りがあり、教材の準備が難しい
  • 生徒のアイデアを形にしてあげたいけれど、実現が難しい

私たちは、先生と生徒のキモチを出発点に、
創意工夫を重ね、知的な魅力にあふれる教材でカタチにします。
どんな小さなお困りごとも、お気軽にご相談ください。

次世代商品開発研究所 公式ホームページ

納入製品

関西大学第一高等学校・中学校 生物部様が開発された忌避香を拡散するための装置です。2,000時間の長期運用を行うための低消費電力設計、トレイルカメラとの同期を実現する電流センサーを備えています。
本機は、中学校 技術分野向けに開発されたミニやさい工場 計測・制御キットを応用して開発されました。


忌避香拡散装置

電流センサー基板

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