ミニやさい工場キットを中学生の技術・家庭科の授業用教材に
開智中学・高等学校(一貫部)様は生徒自身が課題を見つけ解決する力を養う「探究型教育」に積極的に取り組まれています。その一環として、当グループの電子工作と野菜育成を同時に学べるミニやさい工場キットが、二年連続で中学三年生の技術・家庭科の授業用教材として採用されました。
キモチをカタチに
キモチ|お客様のご要望
- 技術教科の分野を融合したアクアポニックス※につながる授業を展開したい。
- エネルギー変換・生物育成を網羅した教材を使用したい。
- 座学で学んだ知識を実践的な技術として習得させたい。
- デジタルコンテンツと印刷物、両方を活用した授業を行いたい。
※魚の養殖と作物の水耕栽培を組合せた循環型の育成システム。
カタチ|オーエスのお手伝い
- 電子工作、野菜育成を実践的に学べるミニやさい工場キットの導入。
- 植物育成×電子回路×LED照明制御を学べる教材カリキュラムのご提案と作成。
- 予備の電子部品を追加するなどのサポート。
- Webラーニング教材に加えて印刷可能なPDFをご提供。
ミニやさい工場キット
写真はイメージです。
ミニやさい工場キットは電子工作と野菜育成を同時に学ぶことができるキットです。はんだ付けを行い、LEDやトランジスタなどの電子部品に実際にふれて、組み立てができます。
完成後は豆苗やカイワレ大根などのスプラウトの育成が可能です。 赤・青・白のLED光の照射で野菜の育成観察ができます。
技術・家庭科 中里先生・江島先生インタビュー
導入背景
~ ミニやさい工場キットの採用に至った経緯を教えてください。
開智中学・高等学校(一貫部)
技術・家庭科 左)中里先生 右)江島先生
開智中学・高等学校(一貫部)
技術・家庭科 左)中里先生 右)江島先生
私たち二人で技術のカリキュラムをいま一度考えてみようとなったとき、どういうことを教えていくか・何を採用するかについて考え、中里先生がもともと興味があったアクアポニックスを軸に展開していきたいという話が始まりました。
ただ、植物育成のキットはあまり多くないんです。販売店さんが作られているカタログを見ても、自分たちの要望に合う教材はなかなか見つかりませんでした。
そういったときに見つけたのがオーエスさんのミニやさい工場キットです。値段も比較的手ごろで、このキットで生徒たちに植物工場を身近に感じてもらえるのではないかと思いました。
~ 年間の授業計画を教えてください。
年間の授業計画としては1学期に土耕・水耕栽培、2学期に植物工場、3学期にアクアポニックスという流れで学習していきます。植物育成については主に2学期で学びます。
開智中学・高等学校(一貫部)様が取り組まれている「アクアポニックス」
有志の生徒によるアクアポニックス運用
アクアポニックスとは養殖(aquaculture)と水耕栽培(hydroponics)を掛け合わせた育成システムです。
植物が光合成で水を綺麗にし、その水を使って魚を養殖、魚が出した排泄物を微生物が分解することで、植物が育つための養分を生み出します。化学肥料や農薬をほとんど使わない循環型のシステムとして注目されています。
開智中学・高等学校(一貫部)様では有志生徒を中心にアクアポニックスの探究を行っています。
知識を実践的な学びに
~ ミニやさい工場キットを利用して実際にどのような授業を行っていますか?
中学三年生の授業で使用しています。ミニやさい工場キットは主に「エネルギー変換」分野の実習教材として使用しています。1学期には植物育成の分野としてレタス栽培を行い、その次に育成ライトの方にスポットを当てて、という流れになります。
Web教材は復習やテスト用に生徒のタブレットに配信するなどして活用しています。授業評価の方法としては、例えばLEDがきちんと点灯しているか、あるいは正しく作れているかなどを確認します。
有志の生徒と行っているアクアポニックスでは植物育成ライトとして使用したこともありました。
~ 授業をする際に意識されている点はありますか?
主要教科の内容に絡めることは意識しています。「エネルギー変換」であれば理科でも回路の授業を行います。
ただ、LEDや抵抗って授業で言葉としては出てきますが、実物を見たことがない生徒も多いです。キットを作るだけではなく、実物に触れる機会としても授業を進めるようにしています。
~ ミニやさい工場キットを導入した感想をお聞かせください。
技術の習得という意味では、はんだ付けを何回も繰り返しやる場面があることも良いです。加えて、生徒が失敗から学んでいる実感があります。
「ショートさせてしまった」という失敗も、知識として知っていたことを実践として重ねていくことで、少しずつ生徒たちの学びになっていくと思っています。
~ ミニやさい工場キットはデジタルコンテンツを活用していますが、先生方が授業されるにあたってご負担は軽減されていますか。
ミニやさい工場キットのWeb教材
生徒ひとりひとりがタブレットを持っているので、Web教材を自分で復習できる点で良いと思います。「ここまで進んでいるから次はここ」といった進捗がわかりやすいのも紙にはないメリットで良いなと感じます。
Webページから生徒に見てもらえるので試験範囲の指示などもやりやすいと思います。やはり全員分のプリントは大変なので、デジタルコンテンツは良いです。
~ 今年は昨年の教材に加えて解説教材・予備部品の追加、対照実験用のLED制御機能追加などのアレンジをさせていただきましたが、こちらは先生方のご希望に添えていましたか。
丁寧な素早い対応、さらに要望にも応えていただいていると感じています。特に、予備部品の追加が大変助かりました。(LED制御機能について)実際にLEDの光り方のパターンをコントロールするというのは今後僕らもやっていきたいと思っています。
ミニやさい工場キットを使用した今後の授業の展望
~ 今後ミニやさい工場キットを使用した授業についてどのような活用をしていきたいと考えていますか。
よりアクアポニックスにつなげていきたいです。さまざまな知識が凝縮され、探究的な要素も多くあるので、それらの1つの通過点として植物工場があるなということは思っています。
今後キットなどを使ってアクアポニックス学習までさらに発展的に活用することができればと考えています。今後の要望としては、交互照射のコントロールができるようになると良いかなと思いますね。例えば交互照射だと赤と青を2秒おきに点灯させるというパターンがあったり。
オーエスグループさんはいろいろな制御パターンの技術をお持ちだと思いますので、それによってどの作物にどういった影響が出てくるのか、生徒たちが探究を進めることでその「変化」を感じてほしいと思いますね。照射パターンや時間などを調整することで「この野菜にはこのパターンが1番いいんだよ」みたいな現象を見つけていけると、応用が広がっていいのかなと思います。
~ 技術家庭科の今後の教育展開について教えてください。
実験の探究進度を高めていきたいです。なぜアクアポニックスをメインに据えたいかというと、技術の四つの分野『材料と加工』、『生物育成』、『エネルギー変換』、『情報』を全て融合できると考えているからです。一つの軸に則って全部が区切られているというよりも、全てを融合させるということに今後は注力していきたいです。
例えば植物育成なら、生物や化学の話。食糧問題なら社会の話。そういった科目の枠にとらわれない、より高度なものを副教科で自由にできる環境でやっていきたいと考えています。もちろん仕事ではありますが、楽しい分野ですね。
植物は育成環境によって明らかに働きが変わります。このような授業によって植物が生きている、動いていることを生徒がより感じると思います。この実感をますます広げていきたいですし、いろいろな研究をしたいという生徒を増やしていきたいと思っています。
ミニやさい工場キット
お客様のご希望に沿ったアレンジ
~ ミニやさい工場キットは電子工作と野菜育成を同時に学ぶことができるキットです 。
- 組立手順や植物工場の仕組みを学習するための専用Webラーニングをご用意。
- ネットワーク環境のご用意で時間・場所を問わず繰り返し学習が可能。
- お客様のご要望に応じた教材カリキュラムのアレンジ作成。
ものづくりDr.KidsKeyアカデミー
本キットはオーエスグループの教育事業「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」が提供する電子回路×機構×ソフトウエア教材を応用して制作されています。
「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」は電子回路工作・メカ工作・プログラミングの実践を通して次世代のエンジニアを育成する小・中学生向けの、ものづくり教室です。
生徒一人一人がタブレットを使用し、それぞれの学習進度に合わせたeラーニング形式のカリキュラムを行っています。現在は東京都綾瀬にて開校しています。